リハナースとしての看護師とセラピスト(PT,OT,ST)のチームでの取り組み
回復期医療を担う当院でのリハナースとしての取組みとセラピストとしての取組み、そしてチーム医療を担うためにお互いに感じていることなどを聞いてみました。 特に急性期医療を経験してから入職する看護師は 、急性期医療とのギャップやリハナースとして心がけていることは何なのでしょうか。 お互いに専門職として認め合いながら日々努力していることも話してくれました。(司会者)
メンバー
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日野病院
病棟3F南看護課
看護師(師長代理) -
日野病院
病棟4F南看護課
看護師(師長代理) -
日野病院
リハビリテーション部
作業療法士(室長代理) -
日野病院
リハビリテーション部
理学療法士(係長) -
日野病院
リハビリテーション部
作業療法士(係長)
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当院でのリハナースの役割について
SECTION01
まず、リハナースの皆さんにお伺いします。
当院で働く看護師には急性期病院から転職してくる方が多いと伺いました。
回復期医療を提供する当院の看護と急性期看護との違いはどういうところだと考えますか?-
急性期看護は患者さんの身体的な侵襲が大きいため、病棟生活では「安楽が保てるような援助」に注力していました。
容態が急速に変化することも多く、異常の早期発見や迅速な対応が求められるためどうしても患者さんの“悪いところ”に着目してしまいがちです。
回復期看護でも急性期疾患の再燃など異常の早期発見や合併症のリスクはありますが、安楽を中心に考え行動するのではなく、いかに患者さんの“できること”に着目し援助できるかを求 められている点だと考えます。
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急性期では主に生命の維持や治療が優先され、異常の早期発見、重篤化予防に特化したケアを短期間で行っていました。
そのためどうしてもベッド上や病室内での療養を中心に実践していました。
当院が行っている回復期看護では日常生活が阻害された患者さんの「生活」の再構築を援助することに視点を置くことが求められます。
つまり、機能回復のためのリハビリテーションや回復への動機づけ行い、活動(日常生活)を重視しながらADL拡大に向けた比較的長い期間(2~6ヶ月)のチームアプローチが必要です。
比較的長期とはいえ入院時より退院後の「生活」を見据えたアプローチをしていくため、当院では ICF(国際生活機能分類)という考えのもと、心身状態以外にも家屋状況や生活状況の情報収集まで実施しますので、急性期看護とは全く異なる援助力が必要になります。
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当院でのセラピストの役割について
SECTION02
次に、セラピストの皆さんにお伺いします。
病棟担当セラピストとして心がけていることを教えてください。-
回復期リハビリテーション病棟のセラピストとして心掛けていることは、元の生活にすみやかに戻れるようにご本人・ご家族からたくさん情報を集めることです。
退院後の生活がより良いものとなるよう、活動へのアプローチだけでなく社会参加実現のためのアプローチとして「日常生活リハ」の提供という当院の基本方針に沿って、目標指向的リハビリテーションの実践を心がけています。 -
私は回リハの担当者として在宅復帰を常に目標とすること。そしてその目標に向けて看護部と連携して日常生活リハを計画し、患者さんの生活に汎化させていくことを心がけています。
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リハの目標設定という視点では、私は日常生活だけに着目するのでなく、その方の人となり(人生)を踏まえて多角的に設定するように努めています。
もちろん退院後の生活を踏まえて、病棟での生活の充実も図っています。 -
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相手に求めることについて
SECTION03
セラピストの皆さんは情報収集がとても重要だと言うことですが、病棟で主に連携することが多い“リハナース"に求めていることがあれば教えてください。
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私たちセラピストはその患者さんに濃厚にかかわることが出来るとはいえ、(担当する時間は)1日最大3時間程度です。
看護師さんは昼・夜問わず、病棟生活24時間の情報を把握することができます。
セラピストと看護師が各々の情報を持ち合い、患者さんの出来ることを病棟で活かす方法を考えたり、できないことを一緒にやってみたりする時間を増やすように協力していきたいと思 っています。
そのためにもリハナースの皆さんには患者さんのやりたいこと・したいことをドンドン引き出してもらいたいと思っています。 -
とにかく情報共有を密に行いたいと考えているので、忙しそうだと遠慮せずに積極的に声をかけて欲しいと思っています。
なぜなら、病棟生活での状態・状況とリハ時との乖離が無いか などをお互いに確認していくことが患者さんにとって重要なことだと考えているからです。 -
逆に、リハナースの皆さんが病棟担当セラピストに求めていることがあれば教えてください。
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当院のセラピストは私たち以上に患者さんの心身機能だけにとらわれず、患者さんやご家族の希望を第一に考え、必要な動作の獲得や住環境の調整、ご家族への指導に積極的です。
これからも引き続き協力関係を深化させ専門職としての能力を最大限に発揮していきたいと考えています。 -
当院の回リハには患者さんの退院後を見据えた日常生活リハの一環として、セラピストによる「入浴リハ」と言う特徴的なリハビリがあります。
次は看護部とも協力させていただき排せつリハを深化させていけたら更に良いと思っています。
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リハ×看護_両職種間でのコミュニケーションについて
SECTION04
やはりコミュニケーションがポイントになりそうですね?
では、両職種間で必要となるコミュ ニケーションの取り方で工夫していることがあれば教えてください。-
相手 (リハナース)の業務状況を確認した上で、出来る限り自らコミュニケーションをとっていくようにしていることです。
さらに、普段から他職種の動きを観察し、手助けにななり得ることがあれば積極的に提案することで業務負担を軽減できるように心がけています。
お互いの業務内容が違うため、相互理解の姿勢こそがコミュニケーションにおいて不可欠であると考えています。 -
リハナースとセラピストは職種が違うことでそれぞれ視点や考え方が違います。
どちらの考えが良いor悪いではなく、何が患者さんにとって有益かを第一に話し合っていることです。
それぞれの強みを生かして工夫することが必要だと思ってい ます。 -
電子カルテ内の情報共有の他に、リハビリ施術の前後にベッドサイドで患者さんも交えた短時間のコミュニケーションを行い、日々の細かい情報共有を心がけています。
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私も患者さんやご家族の情報をセラピストに詳しく伝えるように心がけていることです。
コロナ禍で対人コミュニケーションが取りづらくなりましたので、必要なことは口頭で伝えるようにしていますが、それ以外にカルテ記録やICF(国際生活機能分類)記録をより丁寧に行うように努めています。
また、担当患者さんのリハを見学に行き、短時間であってもその場で患者さんを中心にセラピストとコミュニケーションを図るなどの工夫もしています。 -
業務が多忙であっても、お互いのことを考えながら“自ら動く”という姿勢が両者間に存在しているから上手くコミュニケーションが取れているということですね!
お互いのことを思いやりながら仕事をしている皆さんから見て、相手の仕事におけるGoodポイントを教えてください。-
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当院は(コロナ前まで)患者さんやご家族から入院前の生活環境の情報収集を綿密に行う「入院時訪問調査」を行っており、その情報をもとにリハの目標設定を行っています。
それを「目標指向的リハビリテーション」と言い、患者さんと一緒に目標達成に向けて365日マンツーマンでリハを実践している点がGoodポイントだと感じています。 -
当院のリハナースのGoodポイントは看護師だからと言い訳をせず、日常生活リハとしての歩行誘導や動作指導を積極的に受け入れてくれることです。
また、私たちセラピストからの提案で上手くいかない場合にも、リハナースが迅速に相談や提案をしてくれるため当院の日常生活リハの質は向上しやすいとも言えます。 -
当院のセラピストは単純な身体機能へのアプローチだけはでなく、入浴や更衣、屋外歩行など専門性を活かしつつ在宅復帰後の日常生活に寄り添った個別性のある「オーダーメイドリハ」を実践しておりとても素敵だと思ってます。
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まず日野病院のリハナースはとても優しいことがGoodです。セラピストの考えを汲み取ってくれたり、自分達に足りないことがあれば指摘してくれたりと見落としていた部分に気付かせてくれます。
そして何よりも患者さんのことを想う気持ちが強いので、何とか病棟生活を充実 させようと、業務多忙の中であっても患者さんのためであれば積極的に応じてくれることなどGoodポイントがたくさんあります。 -
最後の質問になります。
日野病院が目指すの回復期医療を提供するにあたり、どんな人と働きたいと考えていますか?
ぜひ求職者へメッセージをお願いします!-
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当会の理念に共感して下さる方に来て欲しいですね。
具体的には、患者さん、ご利用者の生きる力を最大限に引き出すために積極的に関わってくれる方と働きたいと思います。 -
まずは患者さんに寄り添える方、次に職員同士思いやりの精神で仕事ができる方、そして何事にも向上心を絶やさず、職員同士高め合える関係を築いていける方と働きたいです。
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私は「リハナース」としてチーム医療に取り組みたいと思っている人と一緒に働きたいです。
合併症を持った患者さんも多いので、急性期病棟等これまでの経験を活かし、体調変化を見逃さない素敵な看護師さんに来て欲しいです。 -
ワンチームで退院支援を行うので、看護師でもセラピストでも経験年数などにこだわらず、何でも相談してくれる正直な方が良いですね。
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患者さんの「やりたいこと」を「できること」に変えるために、患者さんや周りの方々と一緒に頑張る熱意と、様々な考えや工夫を凝らす想像力・創造力が必要な仕事です。
患者さんのために一所懸命になれる方はそれらの力は後から自ずと付いてきます。
患者さんのために一緒に考えて行動できる方であればどなたでも大歓迎です。 -
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セラピストの皆さんと看護師の皆さんが信頼しながら協働していることが良く分かりました。
ありがとうございました。
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